財産分与
財産分与とは
財産分与とは、婚姻中に夫婦で共同して形成した財産を清算することです。
財産はたとえ名義は一方の配偶者(夫の場合が多い)となっていても、他方の協力があってのことで財産形成が可能であったと考えますので、潜在的に夫婦共有財産と考えられています。
調停離婚や審判離婚以外の協議離婚の場合、財産分与については口約束だけになっている場合も多くみられます。
ですから、後々の紛争を防ぐためには不動産以外の財産の帰属や養育費の問題なども含めた財産分与契約書を作成しておくことをお勧めします。
なお、現実の財産分与の支払いは、慰謝料と合算する場合が多く、家庭裁判所の統計も合算して出しています。
普通のサラリーマンで、財産分与と慰謝料を合わせて200万から500万円が典型です。
婚姻中の財産
結婚中の財産は、一般的に以下の3つに分類されています。財産分与の対象となる財産は、「共有財産」と「実質的共有財産」です。「特有財産」は財産分与の対象にはなりません。
結婚前から各自が所有していたもの。結婚中に一方が相続したり贈与をうけたもの。各自の装身具等社会通念上、各自の専用品と見られるもの。
夫婦の合意で共有とし、共有名義で取得した財産、共同生活に必要な家財・家具等。
結婚中に夫婦が協力して取得した財産で、夫婦の一方の名義になっているもの。
※特有財産でも配偶者がその財産の増加に貢献しているような場合、分与の際にこの寄与度を考慮することになります。
※共働き夫婦で、生活費をお互いの収入に応じて出し合い、残りを各自が貯金していた場合、その貯金は固有財産ということになり、財産分与の対象にはなりません。
財産分与の法律的な性質
財産分与というのは、婚姻中にお互いが築いた財産を清算することですが、法律的に財産分与が意味する範囲はたいへんに広く、法律的に認められている財産分与の性質は次のとおりです。
財産分与の中心になります。
離婚によって生活ができなくなる夫婦の一方の暮らしの維持。経済的に弱い立場にある配偶者が、自立をするまでの援助として支給されるものです。清算的財産分与も慰謝料も請求できない、あるいはできたとしてもそれだけでは生活できないときに、これを補うために請求できます。支払期限については3年程度といわれています。
最高裁判所は財産分与に離婚による慰謝料を含めることができるとしています。財産分与に慰謝料が含まれて、精神的な損害に対して十分に補てんがされている場合、配偶者の不貞行為などを理由として、別に慰謝料を請求することはできません。
慰謝料的財産分与を含めて財産が分与されても、精神的苦痛に対して十分に補てんされたとはいえないと認められる場合には、別に慰謝料の請求ができます。
多くは婚姻中に「婚姻費用分担請求」というかたちで処理されます。